インタビュー記録SPC-■■■-2


対象:SCP-■■■

インタビュアー:ワン・チャーリー博士

付記:インタビューはSCP-■■■のいる洞窟にて高性能カメラと高性能マイクを搭載したドローン、財団の備品である折り畳み式テーブルと椅子を用意した状態で行われました。

〈20■■-01-27〉


ワン・チャーリー博士:今回もお願いします。


SCP-■■■:お願いします。今日は何を話しますか?


ワン・チャーリー博士:あなたの過去についてです。まず、あなたは■■森の湖で発見されましたが、出身地はどちらですか?


SCP-■■■:その湖です。元々わたしはイワシでした。


ワン・チャーリー博士:イワシ?では、なぜ今は人間の姿に?


SCP-■■■:人を多く食べたからです。


ワン・チャーリー博士:人を?


SCP-■■■:はい。


ワン・チャーリー博士:続けてください。


SCP-■■■:湖にいた頃のわたしは他のイワシたちと楽しく生きていました。別に人を食べなくてもでき生まれた小さいものを食べるだけで良かったんです。


[SCP-■■■が5秒間沈黙する]


SCP-■■■:わたしは、本当は人間にななりたいなんて思ったことがありませんでした。


ワン・チャーリー博士:それは何故?


SCP-■■■:わたしの大好きな皆[1秒の沈黙]イワシたちがわたしを置いて死んでいったから。あの子たちが死んでいくのを見て、わたしも一緒に死にたかった。孤独は嫌だったから。でも死ぬのは怖かったから、最初は死んだ皆を食べていました。それから「この子たちの為に生きる」と決めて、食べられそうなものを全て食べていたら、いつの間にかこうなってしまいました。


ワン・チャーリー博士:[約3秒間の沈黙]そうでしたか。本当は死にたかったんですね。


SCP-■■■:[頷く。SCP-■■■の黒色の虹彩は更に黒くなる]


ワン・チャーリー博士:でもあなたは生きていて、今もインタビューを受けている。何故生きようと思ったんですか?


SCP-■■■:人が好きになったから、です。


ワン・チャーリー博士:人が好きになった?味を楽しむようになった、という意味でしょうか。


SCP-■■■:いいえ。その頃から彼らの記憶や想いを見られるようになったのです。あの湖にはわたしがいるからか、「自分が死ぬ為の最期の景色を見させてくれる」場所にされました。そしてそういう方も来るようになって、自分が死ぬのをただずっと待っていました。わたしは彼らが死ぬ前に生い立ちや進んだ人生や挫折を全て聞いて食べてあげていました。そうするうちに、所謂知識欲というものでしょうか、わたしは人間という生き物を、感情を、世界というものをより知りたくなったのです。[3秒の沈黙]それと、初めて愛を知ったことも、その理由に入ります。


ワン・チャーリー博士:愛をですか?イワシから人間になったあなたが人を愛するようになったんですか。


SCP-■■■:[頷く。SCP-■■■の黒色の虹彩に星のような光が宿る]


ワン・チャーリー博士:続けてください。


SCP-■■■:彼はある世家[1秒の沈黙]いえ、今でいう県や省という括りになるのかしら。その生まれで跡継ぎを約束されていました。彼は最初、わたしがいることを知らないでお友達と森に来ていました。ええと、お名前は言った方がいいのでしょうか?


ワン・チャーリー博士:どちらでも構いません。


SCP-■■■:[微笑む]では■■と呼ばせていただきます。ああ、やっぱり、この呼び方が一番合うわ。それで、わたしが■■がお友達と談笑しているところを見た時に、■■もわたしに気付きました。所謂、一目惚れというものですね。まさかわたしがするとは思いませんでしたけれど。あの人もわたしに一目惚れして、度々一人で森に来ていました。


[ドローンがSCP-■■■の虹彩をズームする。星のような輝きは依然として止まらない]


SCP-■■■:でも■■には婚約者がいました。当然です。あの人は跡継ぎなのですから。でも、それでもわたしに逢いに来ました。わたしが職に手をつけていたときもです。それで、わたしたちは逢瀬を続けました。


[SCP-■■■が小さく咳をする]


ワン・チャーリー博士:話しすぎて喉が枯れたようですね。警備員に頼んでお茶を用意しましょうか?


SCP-■■■:[首を横に振る]もう寝る時間でしょう。わたしは大丈夫です。あなたは報告書を書かなければなりませんし、あの子[ドローンへ顔を向ける]も眠そうにしています。この話は次の機会にしましょう。


ワン・チャーリー博士:分かりました。では今回のインタビューはここまでとします。ありがとうございました。


SCP-■■■:こちらこそ。いい夢を。

〈記録終了〉

〈終了報告書〉

SCP-■■■のインタビュー後にドローンのバッテリー残量を確認したところ、残り10分で落ちることが判明しました。

また、SCP-■■■から発せられた■■氏という人物を調査したところ、■■■■年に存在した■家の家主であることが判明し、詳細は考古学者と協力して調査中です。